未来デザインプロジェクト 未来デザインプロジェクト

ため池事業が担う
地域防災と農業

地域の農業用水として長く重宝されてきたため池ですが、近年では使われていないものも多く、古くなったため池が地域に浸水被害をもたらすこともあります。 平成30年の西日本豪雨災害を受け、決壊時に人家などに大きな被害を及ぼす恐れがあるとされる「防災重点農業用ため池」を対象に、全国的にため池の点検・改修・廃止などの動きが高まり始めました。
水土里ネット岡山においても、県や市町、土地改良区からの依頼を受け、ため池関連の事業に関わっています。 ため池事業から見える水土里ネット岡山の役割について、若手職員とベテラン職員が語ります。

ため池サポートセンター 松山 滉介

2015年入会。「防災重点農業用ため池」に指定されているため池の老朽度調査を行います。ため池に関する相談窓口の対応もしています。

技術第二課(前 水土里情報課) 山下 帆風

2017年入会。「ため池氾濫解析ソフト」によるシミュレーションや現地調査を行い、ため池ハザードマップを作成しています。

技術第三課 元成 勝巳

1993年入会。ため池工事の施工管理に携わっています。現場に立ち会い、工事で造ったものが基準値を満たしているかを確認しています。

技術第二課 難波 崇文

1991年入会。改修や廃止が必要とされるため池工事の、測量・設計・積算に携わっています。

みんな、どんな業務をしている?

まずはお互いに仕事内容を紹介しましょう。皆ため池に関わっているけれど、実は同じ案件に携わっているのではなくて、課ごとに違う業務を行っているよね。ため池事業全体の進行順で言うと、まず松山君が一番初めかな。

そうですね。岡山県内には9千か所以上のため池があって、そのうちの約4千か所が決壊時に被害があるとして点検の対象とされています。私が所属するため池サポートセンターでは、このようなため池を訪れて老朽度を調査し、その結果を発注者である県に報告しています。

私が所属していた水土里情報課は、市町や管理者からの依頼を受けてハザードマップを作っているのですが、それは松山さんたちが調査した結果を基に、優先順位が高いと判断されたものから順に依頼されるんです。私と松山さんの仕事は、こういうところで関係しているんですよね。

そして松山君の調査や山下さんのハザードマップを受けて、改修や廃止が決まったため池工事の設計及び施工管理に携わるのが私や難波課長の課ですね。私が所属する技術第三課では、ため池の工事現場に立ち会い、ため池の堤体の土がどのくらい締め固められているか、どのくらい水を通さないように出来上がっているかなどを確認する役割をしています。

そうだね。そして私がいる技術第二課に来る依頼は、ため池の改修や廃止のための設計が多い。実はため池の設計ができるというのは、個人的には嬉しさというか、感慨深さがあって・・・。ため池には水路や道路も必要で、いろんな工事の要素が入っている。だから設計では「ため池ができれば一人前」というところがあるんだよね。

業務で苦労する
ところは?

施工管理の業務は品質管理がメインですが、施工中の天候不良や、また稀ですが施工不良があると、試験値が基準を満たさないことがあります。最悪の場合には工事がやり直しになってしまうので、そうしたことがないよう、あらかじめ行政の方や施工業者の方と協議をしながら進めています。

ため池サポートセンターは、多いときには年間1千か所以上のため池を調査します。そのため民間の測量会社さんにも協力してもらって多くの班に分かれて調査するのですが、現地にはその班のメンバーに加えて市町や地元の方も立ち会います。だから関係者全員への連絡やスケジュール調整に苦労しますね。

確かに私たち水土里ネットは技術職なんだけど、技術だけでなくそういった調整は、どの課でもとても大切だね。

私の場合は限られた予算内でどこまで精密なハザードマップに仕上げるかが難しいですね。マップには国が管理する標高データを使うのですが、そのデータが必ずしも最新の地形を反映しているとは限りません。そのため、現地を歩いてデータ修正をする判断が必要になるんですが、予算が限られる場合もあり、地元と行政の要望が一致しないことも多々あります。

そういった判断には経験がものを言うよね。私がやっている設計業務では、現場ごとの条件によって最適な解決策が違ってくる。設計はこういうものを造ろうというストーリーさえ決まってしまえば、あとは基準に従って設計するだけなんだけど、一番大変なのがそのストーリーを描くところ。ここでもやっぱり経験が大切なんだよね。

地元の方との
コミュニケーション

課ごとに事情は違うけれど、どの課も地元の農家の方とコミュニケーションを取ることは大切だよね。

そうですね。ハザードマップを作るにも地形のことや、ため池が決壊した場合にどこに逃げたら良いかということまで、地元の方に聞くのが一番だったりします。

私が行う調査業務でも、ため池の傷んでいる箇所は専門家が調べれば分かりますが、それでも地元の方に聞いて、元々そこが傷んでいたと知っていれば、より良い調査ができますね。

やはり地元の意見が一番だよね。設計するにも、ため池のことをよく知っている地元の方に聞くのが一番です。「ここの池を造ったときに、昔の人はこういうことで苦労したんだ」という話を聞いておけば、設計の精度が上がるからね。

そうですね。私も地元の方に調査に立ち会ってもらうことがあります。ちなみにそれとは別に、測量の時なんかに通りかかった年配の方に「何しよんかな?」「よろしく頼むわ」と声をかけられることもありますね(笑)。

命を守る仕事

ため池を改修することで、堤体の斜面が緩やかになって草刈が楽になったとか、階段がついて水の管理がしやすくなったとか、地元の方から使い勝手が良くなったという声はいただくね。あとは洪水吐の幅が狭くて大雨のときに不安だったけれど、広くなったので安心したという声ももらいます。こうした安全面は本当に重要だね。

そうですね。私が携わるのは施工管理ですが、しっかり工事がなされてないと後々にそれが原因で水が漏れたり、ひどい場合には堤体が崩れたり、最悪決壊することも考えられます。ため池に関わる業務は農業に利用する水源となっていることが多いこと、下流住民の人命に関わるという意味でも農業農村整備事業の中でも重要な事業だと言えると思います。

ハザードマップも、地域の方々の命を担っているという実感は大きいですね。洪水被害の危険度を判断するには氾濫解析というソフトを使うのですが、実際に解析どおりに水が流れるかどうかを判断するのは人なので、重要な役割を任されていると思います。完成したマップが地域に配られた時には、やりがいを感じますね。

ため池サポートセンターでも、危険なため池の放置は命に関わることなので、急いで調査を進めています。岡山県はため池の数が多いので調査には大人数が動くのですが、そのためには事前準備が大切で、準備が滞ると調査が止まってしまいます。それは避けたいのでトラブルなども想定し、先読みしながら段取りを進めています。

最近では、ため池工事は改修や新設よりも廃止の方が多いかな。必要ないと判断されたため池の廃止は本当に大切なんだけど、その背景には農業を担う人が少なくなっているという現状もある。岡山県は全国有数の農業県で、だからこそ中四国地方の農政局は岡山県にあるんだよ。時代に合わせてため池の役割が変化するにしても、あくまで農業と農業に携わる人たちを支えることが私たちの役割ということも、同じように心に刻みたいね。

若い世代に
向けて

世代の違う職員同士でため池について話してきたけど、最後に、お互いに何か聞きたいことや、うちに入会を考えてくれている若い人に伝えたいことはあるかな。

先輩に聞きたいのですが・・・これからどのように仕事を頑張ったらいいですか?(笑)

えっ!そのままでいいと思うけど(笑)。若いうちは何でも吸収するスポンジみたいなもので、私たちみたいに凝り固まっているわけではないから、まずは苦手意識を持たずにトライアンドエラー、何でもチャレンジしてくれればいいと思っているよ。
あと山下さんは、今年初めて一緒の課になったけれど、自分のポジションをよく見極めている。職場の中でも外でも、そういう力が本当に大切なんだよ。是非その力を伸ばして欲しいな。

最初のうちは分からないことも多くあって、落ち込むこともあるかもしれないけど、ベテランや先輩がたくさんいるので、そこは是非頼りながら経験を積んでほしいですね。学校で学んだ基礎知識ももちろん大切ですが、その知識を活かすには、経験も含めた総合力が必要となってくる。さっき難波課長も仰っていたように、設計する前に何を造るかというストーリーを描けることが、その人の強みになるのだと思います。

私が水土里ネットで数年働いてみて思ったことですが…、まずは「やる気と元気」があればいいと思います!私が言っても説得力がないかもしれないけど・・・(笑)

農業に携わっている人や地域に貢献したいという思いが、何よりの強みになるよね。何とかしたいという前向きな気持ちがベースにあって、初めて発想力が生まれる。水土里ネットに入ると、行政や地域の方々と農業を通してつながることができる。そのつながりの中で、是非若い可能性を存分に伸ばしてほしいと思います。

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